19.FXにおける含み損とは?(Lot別比較)

FX(外国為替証拠金取引)における含み損とは、「まだ確定していない損失」のことを指します。現在の為替レートでポジションを決済すると損失が出る状態ですが、決済しない限り実際の損失にはなりません。逆に「含み益」は、決済すると利益が出る状態のことを指します。


例えば、以下のような状況を考えましょう。

例:ドル円の場合

  • 1ドル=150円のときに、1万通貨(=1万ドル)を買う(ロング)
  • しかし、相場が145円まで下落した
  • 1万ドル × (150円 – 145円) = 5万円の含み損

この時点では決済していないため、損失は「確定」していません。しかし、このまま相場がさらに下がれば損失が拡大し、証拠金維持率が低下すると強制ロスカット(強制決済)される可能性があります。


含み損シミュレーションの重要性

FXでは、「どのくらいの含み損に耐えられるのか」を事前にシミュレーションしておくことが重要です。実際に取引を始める前に、以下の点をチェックしましょう。

1. 証拠金に対する許容範囲を計算する

例えば、レバレッジ25倍で取引する場合、証拠金が10万円であれば、最大で250万円分の取引ができます。しかし、価格が1%下がるだけで、含み損は2.5万円になるため、余裕がないとすぐにロスカットされます。

2. 想定される最大ドローダウンを試算する

過去の相場データを見て、「この通貨ペアはどれくらいの変動があるのか?」を確認します。たとえば、過去に1カ月で5円の値動きがあった場合、自分が耐えられる含み損を計算しておく必要があります。

3. 証拠金維持率を意識する

証拠金維持率(=証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100%)が100%を下回ると、追証や強制決済のリスクがあります。余裕を持って200%以上を維持するのが理想的です。


シミュレーション例(Lot別比較:0.01Lot vs 0.1Lot)

レバレッジ1000倍は少ない証拠金で大きな取引ができますが、取引量(Lot数)を増やすと一瞬でロスカットされるリスクが高まります。ここでは、**0.01Lot(100通貨)と0.1Lot(1000通貨)**のケースを比較します。


シナリオ1:レバレッジ1000倍 & 0.01Lot(100通貨)

  • 証拠金:10万円
  • 取引量:100通貨(USD/JPYを150円でロング)
  • 必要証拠金:150円 × 100通貨 ÷ 1000 = 15円
  • 1円の変動で100円の損益
相場含み損証拠金維持率
150円0円666666%
149円-100円660000%
145円-500円633333%
140円-1000円600000%

ポイント
➡ 0.01Lotなら、レバレッジ1000倍でも証拠金に大きな余裕がある。
➡ 価格が10円下がっても1,000円の含み損で済み、ロスカットの心配はほぼなし。


シナリオ2:レバレッジ1000倍 & 0.1Lot(1000通貨)

  • 証拠金:10万円
  • 取引量:1000通貨(USD/JPYを150円でロング)
  • 必要証拠金:150円 × 1000通貨 ÷ 1000 = 150円
  • 1円の変動で1,000円の損益
相場含み損証拠金維持率
150円0円66666%
149円-1,000円66000%
145円-5,000円63333%
140円-10,000円60000%

ポイント
➡ 0.1Lotにすると、1円の変動で1,000円の損失になる。
➡ それでも証拠金維持率は十分高く、10万円の証拠金なら耐えられる。
➡ ただし、さらにLot数を増やすと急激にリスクが上昇する。


0.01Lot vs. 0.1Lot 比較まとめ

項目0.01Lot(100通貨)0.1Lot(1000通貨)
必要証拠金15円150円
1円の変動による損益100円1,000円
証拠金維持率の変化非常に緩やか比較的緩やか
ロスカットリスクほぼなし少し増加

まとめ

レバレッジ1000倍でも、0.01Lotならリスクは極めて小さい
0.1Lotにすると損益の振れ幅が10倍になり、慎重なリスク管理が必要
Lot数を増やしすぎると、少しの変動でロスカットの危険がある

初心者はまず0.01Lotで試しながら、リスク管理に慣れていくのがおすすめです!